IHCSA主催「定例講演会」開催
2025年6月5日(木)、当協会主催「定例講演会」(会場参加およびオンライン形式)を開催し、大勢の方々にご参加いただきました。
今回は、日本ユニセフ協会会長を務めるほか、国連事務総長特別顧問および「人間の安全保障」フォーラム理事長として、海外及び日本国内で人間の安全保障の視点からのSDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)の普及・実践活動を指揮している高須幸雄 氏に、「SDGsがめざす世界と人間の安全保障」というテーマでご講演いただきました。
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SDGsは経済・社会・環境の持続可能性だけでなく、全ての人の人権と尊厳を尊重する世界への変革を目指し、その核心は「誰も取り残さない社会」を実現することであるが、コロナ禍・戦争・気候変動などのためSDGsの達成は遅れていて、目標達成を加速する必要があることを解説いただきました。
また、地域ごとの課題を可視化する「人間の安全保障指標」が重要とされていて、日本においては特に女性や子どもに関する多くの課題に対して地域ごとの優先課題を明確化し、自治体・市民・企業が連携して解決に取り組むことが効果的であること、加えて、国際的な連帯強化が必要であり、紛争・貧困・感染症・気候変動などの世界的課題の解決に向けた日本の積極的な貢献の必要性についてお話いただきました。
なお、講演会終了後のアンケート回答では、「SDGsの現状と課題について理解を深めることができました。」「SDGsの理念の実現のためには地域ごとの課題解決、個々人の人権や尊厳の重視、連帯の強化が必要ということで、新たな視点をいただいた。」「SDGsが、日本では環境の問題に理解が寄りがちですが、実際は人間の尊厳に重きを置いているということは目からうろこが落ちました。」など、有意義な講演会だった旨の感想が多数寄せられましたた。
【講師略歴】
高須 幸雄 氏
外務省に入省(1969年)後、日本政府代表および国連事務局幹部、さらに研究者として多国間外交の分野で長い経歴を有する。国連日本政府代表部参事官(1981年-)、国連政策課長(1989年-)、国連日本政府代表部大使(1997年-)、国際社会協力部長(2000年-)を経て、在ウィーン代表部常駐代表(2001-2005年)、国連日本政府代表部常駐代表(2007-10年)を歴任。国連事務局では、事務次長補・国連財務官(1993-97年)、事務次長・行政監理局長(2012-17年)を歴任。また東京大学、政策研究大学院大学、立命館大学などで特任教授を歴任。
現在、日本ユニセフ協会会長を務めるほか、国連事務総長特別顧問および「人間の安全保障」フォーラム理事長として、海外及び日本国内で人間の安全保障の視点からのSDGsの普及・実践活動を指揮している。
共編著
『オーラルヒストリー 日本と国連の50年』(明石康 高須幸雄 野村彰男 大芝 亮 秋山信将 ミネルヴァ書房、2008年)
『全国データ SDGsと日本:誰も取り残されないための人間の安全保障指標』(NPO法人「人間の安全保障」フォーラム 高須幸雄 明石書店、2019年)
『SDGsと地域社会―あなたのまちで人間の安全保障指標をつくろう!宮城モデルから全国へ』(高須幸雄、峯 陽一 明石書店、2022年)